モーツァルトの三大オペラ〜『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ(女はみんなこうしたもの)』には「謎」がいっぱい。その「謎」を説き明かしながら、モーツァルトの最高に素敵な三大オペラを、様々な演奏と演出による映像で、徹底的に愉しんでいただきます。
オプション企画として、佐渡裕氏の指揮&プロデュースによる兵庫芸術劇場での『コジ』の上演を、佐渡氏自身の解説付で生観賞。これで貴方もモーツァルトのオペラ通に!
各回予定
第1回 4月26日(午後3時半〜5時半:以下同)『フィガロの結婚』
フランス革命直前、革命派の作家ボーマルシェは、貴族の乱れた生活を徹底的に馬鹿にした不倫騒動ドラマを完成。その過激な作品をオペラ化したモーツァルトは、その後、貴族(パトロン)からの作曲依頼が激減。そんな危険を冒して、モーツァルトは何故『フィガロ』を作曲したのか?ザルツブルク音楽祭での舞台を見ながら、その謎に迫る。
第2回 5月24日『フィガロの結婚』
モーツァルトの代表作オペラは、実は吉本新喜劇も真っ青になるくらいのドタバタ喜劇。しかし、ただの貴族社会批判の喜劇なら、時代の変化とともに消えていったはず。それを見事な音楽で包み込んだため、ドタバタ喜劇は「永遠の生命」を得ることになった。その証拠とも言える現代版演出で成功した舞台を観賞し、モーツァルトの「凄さ」を解説。
第3回 6月28日『コジ・ファン・トゥッテ』
2組のカップルが互いの恋人を交換し、愛を確かめようとしたところが…確かなはずの愛はもろくも崩れ…。そんな男女間の愛情の儚さを、モーツァルトは美しく響く(そして消えていく)音楽で表現した。ベートーヴェンが「軽薄すぎる!」と激怒した恋人交換(スワッピング)物語。そんな「ふしだらな愛」を描いたモーツァルトの真意は?
第4回 7月26日『コジ・ファン・トゥッテ』
佐渡裕プロデュース&指揮による兵庫芸術文化センターの舞台を楽しんでいただいたあと、様々な演出による現代の「恋人交換オペラ」を比較。オーストリアの皇帝ヨーゼフ2世は、この「爆笑喜劇」を大喜びしたらしい。が、じつは笑ってばかりはいられない、現代にも男と女のドロドロの関係をモーツァルトは音楽で描き出してもいたのだ。
第5回 8月23日『ドン・ジョヴァンニ』
稀代のプレイボーイで女誑しのドン・ファン(イタリア語読みでドン・ジョヴァンニ)は、なぜ愛が信じられなかったのか?手籠めにした娘の父親の騎士長を殺し、最後は騎士長の呪いに導かれて地獄へ…。世界で最初の最もシリアスなオペラを、モーツァルトは血の吹き出すような苛烈な音楽で描きあげた。それは彼自身への父親の呪いだったのか?
第6回 9月27日『ドン・ジョヴァンニ』
ドラマ・ジョコーソ(滑稽なドラマ)と名付けられ、舞台は喜劇的に進みながら、最後は悲劇で幕を閉じる。愛を信じず、愛を弄んで地獄に堕ちるドン・ジョヴァンニは、「中世の悪漢騎士」と言うよりも「ニヒルな現代人」。舞台も現代仕立ての演出が様々にあり、それらを較べて観賞し、「モーツァルトの現代性」を味わっていただく。 |