15期目のオペラ鑑賞講座は「オペラで世界文学全集!」と題して、「文学とオペラ」の関係を探ります。古代ギリシア神話からシェークスピア、さらにセルバンテスの『ドン・キホーテ』もゲーテの『ファウスト』も、メリメの『カルメン』もデュマの『椿姫』も、はたまたトルストイの『戦争と平和』もドストエフスキーの『賭博者』も、プーシキンの『オネーギン』も、オペラはまさに「世界文学」の宝庫。「歌劇」として音楽からアプローチするだけでなく、文学・戯曲作品としてのオペラにアプローチすれば、オペラをより楽しく、深く楽しめるはずです。
各回予定
第1回 オペラとギリシア神話
ゼウスを主神としてオリンポス山に棲む神々は、ヨーロッパ文化の常に中心にあります。そこから生まれたホメロスの二大叙事詩『オデュッセイア』と『イリアス』のなかの物語は、バロック・オペラからリヒャルト・シュトラウス、ストラヴィンスキーまで、常にオペラの大テーマでした。ギリシア神話を解説するなかからオペラの楽しさを発見します。
第2回 オペラとシェークスピア
『ロメオとジュリエット』『ハムレット』『マクベス』『オセロ』『ウィンザーの陽気な女房たち』…シェークスピアの主要戯曲はすべてオペラ化されています。では、どんな風にオペラ化されたのか? シェークスピアの原作との違いを探すなかで、オペラの魅力に迫ります。
第3回 オペラとロシア文学
ムソルグスキーの傑作オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』もチャイコフスキーの『スペードの女王』も『エウゲニー・オネーギン』も原作はプーシキン。ショスタコーヴィチの『鼻』はゴーゴリ。ロシア・オペラはロシア文学から誕生したともいえるほど。なかでも大傑作トルストイ(プロコフィエフ)の『戦争と平和』。ロシア文学・音楽の本質を探ります。
第4回 オペラとドイツ文学
ドイツを代表する文学者ゲーテの『ファウスト』は、ベルリオーズやグノーやボイートのオペラ作品としても有名。また、オペラを見るほうが理解しやすいことも事実。文学の「解説入門編」としてのオペラのあり方を、トーマス・マンの『ヴェニスに死す』やグリム兄弟の『ヘンゼルとグレーテル』など、他のドイツ文学とともに考えます。
第5回 オペラとフランス文学
ボーマルシェの『フィガロの結婚』(モーツァルト)も、メリメの『カルメン』(ビゼー)も、アレキサンドル・デュマの『椿姫』(ヴェルディ)も、文学作品よりもオペラのほうが有名。アヴェ・プレヴォーの『マノン・レスコー』(マスネ、プッチーニ)も? フランス文学はなぜオペラ向きなのか? 考えてみます。
第6回 オペラとキリスト教文学&ゲルマン神話
オペラの発祥地はイタリア。しかし、「オペラとイタリア文学」というテーマは成立し難い。それに変わって存在するのはキリスト教文学と異教徒の神話。ヴェルディやプッチーニ、そしてワーグナーなどの作品の背景に流れるキリスト教文学と、正反対の異教の思想を探り、ヨーロッパ文化の神髄オペラの本質に迫ります。 |