コラム「音楽編」
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掲載日2007-10-10
300万ヒット記念特集・蔵出しの蔵出しコラム
「音楽編」 第2弾!

音楽編の「蔵出しの蔵出し」は、2004年11月19日にアップした『天国の大トークバトル クラシックあとは野となれジャズとなれ』です。この原稿は、 2002年の『山下洋輔ニューイヤー・コンサート 超室内楽』(オペラシティ・タケミツホール)のパンフレットに寄稿したものに、大幅に手を加えたもので、天国に逝った大作曲家たちが侃々諤々のトークを展開します。アルファベットで表した作曲家の名前がすべてわかった方には……何も賞品はありませんが、考えてみてください。今年の『ニューイヤー・コンサート』にも、また書かしてもらえるのんやろか?けどぼちぼちネタ切れやで……。


掲載日2004-11-29

この原稿は、2002年の『山下洋輔ニューイヤー・コンサート 超室内楽』(オペラシティ・タケミツホール)のパンフレットに寄稿したものに、手を加えたものです。来年のニューイヤー・コンサート『ジャズ版忠臣蔵』の原稿の締め切り日が近づいてきたので(笑)、前回に続いて“蔵出し”します。イニシャルで書いた「大作曲家」は誰なのか?全問正解者には・・・何も賞品はありませんが、考えてみてください。

天国の大トークバトル
『クラシック あとは野となれ ジャズとなれ!』

LVB 大変だ。えらいことになった。これは困ったことだ。ブツブツブツ・・・。
JSB ルートヴィヒ君、何をぶつくさ呟いているのかね。
LVB あっ、ヨハン大先生。じつは困ったことが起きました。日本のヨースケというジャズ・ピアニストが、「超室内交響楽」とやら名付けた音楽で、我らがクラシック音楽の神聖な領域を侵そうとしておるのです。

WAM キャッホー。そんなこと、どーでもいいじゃん。おもろいかもしれないじゃん。
LVB 何をぬかすか、アマデウス。ジャズマンごときに、何ができるというのだ。
WAM けど、ヨースケちゃんは、ピアノ協奏曲だってつくちゃったし、室内楽を創ったって何もおかしくないじゃん。れれれのれえ。
LVB 黙らっしゃい! あんな楽譜にも残らないような即興のジャズもどきの音楽の、どこがコンチェルトといえるのだ!

WAM おまえさんだって即興が得意だったくせに、何言ってんのさ。それに、おまえさんのシンコペーションは、まるでジャズじゃないか。ソナタの6番の1楽章とか、コンチェルトの1番の3楽章とかさ。
RW 嗚呼。嘆かわしいこの世かな。何がジャズだ! 何が超室内楽だ! 3時間半以内に終わってしまう音楽なんぞ、そもそも音楽といえるものか。音楽とはドラマだ! 楽劇だ! 雄魂の極みだ! ハイル・ニーチェ!
AB はい。リヒャルト大先生の仰せの通り。

JB ちぇっ。また、アントンはゴマばっかりスリおって。室内楽を書けなかった連中が。
WAM そりゃ、まあ、ヨハネスのオッサンは室内楽を書いたかもしれないけど、そもそも室内楽って何なのさ。室内楽があるんなら、室外楽ってのもあるわけ? どんな音楽も、みんな室内でやってるくせにさ。
AV ちょっと口をはさましてもろてもよろしおますか。
WAM ぎょえ。びっくりした。突然AVなんて出てくるから、アダルトビデオかと思うじゃん。

AV すんまへん。室内楽の最高のヒット作『四季』の作曲者として一言いわしてもらいまっけど、室内楽いうのんはもともとイタリア語でソナタ・ダ・カメラとかムジカ・ダ・カメラとかいうたもんで、カメラ(camera)ちゅうのは貴族の邸宅のことなんですな。そやから、家の居間なんかで演奏する音楽で、それがドイツ語でカンメルムジク(Kammermusik)、フランス語でムジク・ドュ・シャンブル(musique dechambre)、英語でチャンバー・ミュージック(chamber music)となったちゅうわけでおます。

LVB そんなことくらい、ここにいる者なら、誰でも知っておるわい。
WAM へええ。僕ちゃんは知らなかったな。それで、オマルのことをchanber potというんだ。室内でウンコをできるからね。ケケケケ。
AV そうでっせ。ベッドの上でする楽しいことも、chanber workとかbed chanberとかいいまんのやで。室内楽って、そういうもんかもしれまへんで。ウヒウヒウヒ。
WAM ケケケケケ。最高じゃん。僕ちゃんは、そんなこと知らずに室内楽つくったけど、狙いは間違ってなかったよ。ケケケケケ。
JV ぶんちゃっちゃ、ぶんちゃっちゃ、風の中の羽根のように、室内でも変わる女心・・・。
WAM ベッドの上でも変わる女心・・・ケケケケケ。

LVB 嗚呼、なんたる嘆かわしいこと! 天才の名をほしいままにしている男が、そんな馬鹿なことを言ってるから、最近はクラシック音楽の聴衆が減り、クラシックの世界がジャズマンにまで浸食されるんだ。
WAM そんな堅いこといわないでさ。ルートヴィヒだって、苦悩を抜けたら歓喜に至るんだからさ。音楽を楽しもうじゃん。歓喜なんだからさ。歓喜、歓喜、歓喜仏!
LVB やかましい! 我が弦楽四重奏を聴け! 浄化された魂の極み!
WAM 我が弦楽四重奏も聴け! ジョークされたタノシサの極み! 不協和音もあるでよ〜。

FJH ついでに我が輩のも聴いてほしいな。ドイツ国歌にまで使われとるのに、最近は人気がなくて困っておるんじゃ。
FS 私の愛の室内楽も、よろしければ、お聴きください。
LVB そうだ! そのとおりだ! 素晴らしい室内楽は、既に山ほどある! なのに、何をいまさらジャズマンが「超室内楽」だと!絶対に許せん!
WAM でもさあ、フランツ・ヨゼフ先生の室内楽なんて、けっこう冗談ぽいしさ、フランツ坊やの音楽は、けっこうエロいよ。ピアノの連弾なんて、わざと指がからむようにつくったりしてさ。貴族の娘にピアノを教えながら連弾して、いったい何を教えていたんやら。ま、いいけどね。

LVB 黙れ! きみは発言を控えろ! あまりに天才すぎるきみは、音楽の社会的使命を認識していない。音楽で人類を救うのだ。その崇高な行為が、ジャズマンになんぞ、できるものか! そうですよね、ヨハン大先生。
JSB いや、まあ、そのう・・・ジャズマンがチョー室内楽とやらを・・・、それは、まあ、それで、そのう・・・、でも、そんなことして儲かるのかな? 出演料と印税は、どないなっとるねん? わしゃ、それが心配じゃ。
全員 ウワアー、セッコイなあ。
WAM ケケケケケ。クラシック あとは野となれ ジャズとなれ――。あれ? これって、ヨースケとやらの一句だったっけ?

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