モーツァルトの時代、神々や英雄を描いた真面目なオペラ(セリア)に対して、喜劇オペラ(ブッファ)が誕生します。
その後、オペラは「ブッファ」を中心に発展します。
人生は喜劇。男女の色恋も喜劇。喜劇のなかにこそ、人生の奥義が現れます。
ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニなどイタリア・オペラ・ブッファの世界。そこの描かれた「人生の妙」を楽しみましょう!
各回予定
第1回 4月27日 ブッファ(喜劇)の系譜はモーツァルトからロッシーニへ
モーツァルトのドタバタ喜劇オペラの大傑作『フィガロの結婚』は、そのドタバタぶりを音楽のうえでもハチャメチャにまで拡大させてロッシーニへと引き継がれる。『アルジェのイタリア人』や『ランスへの旅』で表された音楽的大爆笑を堪能しましょう。
第2回 5月25日 ロッシーニ作曲『ラ・チェネレントラ(シンデレラ)』
「ロッシーニ・クレッシェンド」(長い時間をかけて徐々に音が大きくなるロッシーニ独特の音楽)や「早口言葉アリア」(文字通り早口言葉を早いテンポで歌う)を駆使して、大笑いの大喜劇オペラを創ったロッシーニは、同時に人生の機微も見事に表現していた!
第3回 6月29日 ロッシーニ作曲『セヴィリャの理髪師』
歌手にもオーケストラにも超絶技巧のテクニックを求めたロッシーニ。その音楽が、なぜ(日本では)「軽佻浮薄」と見られるのか? 音楽や歌(オペラ)で大事なのは、ハート(心)? それとも技術? そんなことをちょいと考えながら代表作を楽しみましょう!(佐渡裕指揮、森麻季主演の兵庫県立芸術文化センター・オペラ見学ツアーと連動します)
第4回 7月27日 ドニゼッティ作曲『ドン・パスクヮーレ』
70歳の独身金満男の結婚騒動。貧乏な親戚の若者を結婚させるため、周囲の人間がドンを罠にはめる。シェイクスピアの喜劇から吉本新喜劇までつながる「メデタシメデタシ・ドタバタ喜劇」をベルカント(美しい歌声の)天才作曲家が見事にオペラ化した傑作。
第5回 8月24日 ヴェルディ作曲『ファルスタッフ』
シェイクスピアの生み出した喜劇の大主人公ファルスタッフに、イタリア・オペラ界最高の巨匠が最晩年に音楽をつけ、さらに巨大な人間喜劇の大傑作が誕生。その物語と音楽の奥深さを、徹底的に分析します。
第6回 9月28日 プッチーニ作曲『ジャンニ・スキッキ』
原作はダンテ『神曲・地獄編』に登場する男。死亡した財産家に成りすまして遺産を横取りする大悪党。しかし、遺産の分捕り合戦を繰り広げる親戚のなかで、誰が彼を非難できる? そんな「人間の本質」を抉り出すのは、ドラマチックな悲劇よりも軽妙な喜劇かも……? |