オペラ解説講座の新規第2期はイタリアの大天才作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの世界を徹底的に取りあげます。シェークスピア、デュマ、ユーゴーなどの物語世界を音楽で追求。イタリア・オペラの芸術性を高め、ついに彼ら大作家の原作を凌駕するオペラの世界を築いたヴェルディ。その魅力を存分に味わっていただきます。
○各回予定
【第1回】
ベルカント・オペラからの脱却〜ヴェルディ・オペラ独自の世界の誕生
ヴェルディが活躍する前に一世を風靡したベルカント・オペラ。ドニゼッティ、ベッリーニ、ロッシーニなど影響を受けながらも『ナブッコ』『十字軍のロンバルディア人』『エルナーニ』などで、ヴェルディは独自の世界を歩み出す。
【第2回】
ドラマと音楽の競合する世界
『二人のフォスカリ』『アッティラ』など、大人気を博するヴェルディのオペラ。バリトンの低い歌声を中心に、男っぽい物語が展開されるなか、ヴェルディはシェークスピアの『マクベス』で、新たな硬派のオペラ世界を築く。
【第3回】
華麗なる歌の世界の幕開け
男性的硬派のドラマ世界にのめり込みそうになったヴェルディだったが、イタリアの血がその行き過ぎを押しとどめ、華麗なる歌の饗宴〜『リゴレット』『トロヴァトーレ』で、イタリア・オペラの歌の世界を築き上げる。
【第4回】
「物語世界」と「歌世界」の合体
歌(音楽)が中心か?ドラマが中心か?バロック時代以来続いた論争に、ヴェルディはアレキサンドル・デュマの『椿姫』と歴史ノンフィクション『仮面舞踏会』で、両者は矛盾なく合体するものだと決着を付けた。
【第5回】
「物語」と「歌」の融合
ヴェルディ・オペラの「物語+音楽の世界」は、シラー原作の『ドン・カルロ』で一つの頂点に達し、さらにスエズ運河開通記念オペラ『アイーダ』という大スペクタクル・オペラで、その頂点が押し上げられる。
【第6回】
ヴェルディ・オペラの世界の完成
最後の二つのオペラ『オテッロ』と『ファルスタッフ』で、ヴェルディはついにシェークスピアのドラマの世界をも凌駕する独自の「オペラの世界」を打ち立てる。
以上、天才の築いた大傑作オペラの世界を、毎回2〜3本ダイジェストで味わい尽くしていただきます。 |