ドニゼッティは近年その価値が再評価され、イタリア・オペラの美しさを存分に表現したヴェルディの先駆者と言われています。その素晴らしい魅力を『ルチア』や『愛の妙薬』など有名な作品でなく、上演機会の少ない珍しい作品を取りあげて解説します。10月から始まる6か月講座です。
各回予定
第1回 10月28日『アンナ・ボレーナ』『マリア・スチュアルダ』
ローマ教皇に逆らい妃を次々と変えた英王ヘンリー8世。彼に運命を弄ばれた妃のアンナ…。恋人を巡る三角関係と政争の中で英女王エリザベスに殺されたスコットランド女王マリア。悲劇の女性の生涯をドニゼッティは見事に音楽で表現しました。
第2回 11月25日『ロベルト・デヴリュー』
恋人ロベルトの不義に怒った英女王エリザベスは彼を処刑して退位を決意。恋と権力の狭間で揺れる女王の激しい心の乱れが、人間の声とは思えないほどの超絶技巧と美しい歌声(ベルカント)で表現されます。
第3回 12月23日『ピーア・デ・トロメイ』
ピーアはダンテの『神曲』にも描かれた無実の姦淫の罪で処刑された女性。そんな不幸な女性の悲劇のドラマを、ドニゼッティは、ヴェルディが『椿姫』にも転用した(パクった?)美しい音楽で描きます。
第4回 2月3日『ポリウート』
古代ローマ帝国時代。妻の不倫を疑ったポリウートは、嫉妬に揺れる心をキリスト教に改宗することで救われる。が、帝国のキリスト教への弾圧で夫婦とも処刑される。現代社会にもつながるテーマが、見事なベルカントで表現されている。
第5回 2月24日『ルクレツィア・ボルジア』『ラ・ファヴォリータ』
父は教皇、兄は悪名高いチェーザレ。自らも奸計・淫乱のシンボルとされたルクレツィア…。スペイン国王の愛妾レオノーラは修道院長の息子フェルナンドと愛し合う。が、国王の陰謀から死を招く。不幸な運命に弄ばれた女性をドニゼッティは音楽で描く。
第6回 3月24日『シャモニーのリンダ』
貧しい農家の娘リンダは侯爵との恋が身分の違いで実らず、発狂する。が、最後はハッピーエンドに。ドニゼッティは庶民の娘を応援した?
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