私の「本職」はスポーツライターである。が、オリンピックに芸術祭があるくらいで(御存知ですよね?)、スポーツと音楽の関係は深く、スポーツライターが音楽を語り、音楽を書くというのは当然のことといえる。
また、スポーツマンと音楽の関係も深い。ヤンキースの往年の大打者ルー・ゲーリックはワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』が大好きで、トスカニーニの大ファンだった。
日本でも、元阪神のピッチャー江本孟紀氏は二期会の名バリトン歌手中山悌一氏から声楽のレッスンを受けたほどで、『タンホイザー』の「夕星の歌」やイタリア民謡を原語で歌える(かつて『題名のない音楽会』に出演して歌ったくらいである)。
西武ライオンズの監督だった森祇晶氏は、SP時代からのクラシック・ファン。最近はオペラやミュージカルが好きで、パヴァロッティのコンサート会場で何度も顔を合わせた。また大リーグ評論家のパンチョ伊東氏は、ヴァイオリニストのハイフェッツとエンリコ・カルーソーの大ファン。連続試合出場の日本記録を持つ衣笠祥雄氏は、ルイ・アームストロングなど、大のジャズ・ファン。
サッカー界では、元日本代表監督でコンサドーレ札幌監督の岡田武史氏も、コルトレーンなどの大のジャズ・ファン。Jリーグ・チェアマンの川淵三郎氏はオペラ・ファンで、三枝成彰氏の『忠臣蔵』にも来ていたし、フランスW杯のときはバスチーユ・オペラで『椿姫』を見、セリエA視察のときはスカラ座でモーツァルトの『魔笛』を見たと自慢していた。
ラグビー日本代表監督を最近辞めた平尾誠二は、ミルバのコンサートや、大阪ドームでのドミンゴ、カレーラス、ダイアナ・ロスのコンサートに来ていた。彼は指揮者の佐渡裕さんと交流があり、佐渡さんのコンサートには、岡田武史氏やプロレスの藤波辰巳氏も顔を出すことが多い。
それに年末の大阪城ホールでの『一万人の第九』では、元阪神の代打男・川藤幸三氏も顔を見せ、佐渡裕や山下洋輔の演奏に感激していた。
シンシナティ・ポップス・オーケストラの『ピーターと狼』のLPは、シンシナティ・レッズの名捕手ジョニー・ベンチが語りをつとめていた。ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ交響楽団によるシカゴ・ブルズ(アメフット)の応援歌のCDもある。
朝比奈隆と大阪フィルも『六甲おろし』を演奏すればいいのに……。日本のクラシック界はカタブツ? |