過去10年間にわたって続けてきたオペラ解説講座。途中クラシック講座やミュージカル講座をはさんで、「音楽劇」のおもしろさを語ってきましたが、『新オペラ入門講座』は、オペラの原点に返って、その音楽の素晴らしさ、「男と女のドラマ」の面白さ、絢爛豪華な舞台の迫力を、堪能していただきます。しかも、最新の舞台映像と、秘蔵の古典的舞台映像を楽しみながら……。さぁ! オペラ愛好者となって豊かな人生を!
各回予定
10月/第1回 バロック・オペラ〜オペラ・セリアの世界
オペラの誕生は1597年。イタリアのフィレンツェ。バルディ伯爵の邸宅。そこでギリシア悲劇を音楽付で楽しもう…と意図したところから始まった。そこから生まれた神話や英雄物語を題材にしたバロック・オペラやオペラ・セリア(真面目なオペラ)。ところが現代演出では、モンテヴェルディやヘンデルやモーツァルトの作品が、大胆に変貌!
11月/第2回 オペラ・ブッファの世界
「セリア」(マジメ)は廃れて、「ブッファ」(ふざけた)と名付けられたオペラが、その後のオペラの主流となる。18世紀の貴族たちをさんざん馬鹿にしたモーツァルトの『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』などが、現代の舞台では、少々過激な「男と女のトレンディ・ドラマ」として復活する! 歌劇は過激!?
12月/第3回 ベルカント・オペラの世界
19世紀イタリアではベルカント(美しい歌)の世界が展開。美声を超絶技巧のテクニックに載せて歌うだけでなく、現代の新演出の舞台では、その歌が意味を持つドラマとして蘇った。ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニなどの楽しいオペラの世界を、ナタリー・デッセー、ペドロ・フローレスなど現代の素晴らしい歌手の歌と最新の演出で堪能する。
2011年1月/第4回 オペラ・ドラマチカの世界
音楽とドラマの一致。それは「音楽劇(オペラ)」の永遠のテーマ。イタリアではヴェルディがシェークスピアやヴィクトル・ユーゴーやアレクサンドル・デュマなどの文豪の作品で、それに成功。そしてドイツではワーグナーが、ゲルマン神話をもとに自作の脚本と独自の音楽による総合芸術として成功。現代の新演出では、さらに驚く舞台が出現する。
2月/第5回 ヴェリズモ・オペラの世界
19世紀末から20世紀イタリアではヴェリズモ(現実主義)と呼ばれるオペラが発展。舞台の上は、かつての「夢物語」や「愛の世界」から殺人事件も起きる「現実世界」に転換。レオンカヴァッロ、マスカーニ、そしてプッチーニなど、フェリーニ、アントニオーニ、ヴィスコンティなどのイタリア映画にもつなが作品を、映画と比較して味わう。
3月/第6回 オペラ(総合舞台芸術)の世界
オペラは総合芸術。リヒャルト・シュトラウスは、モーツァルトの『フィガロの結婚』や『魔笛』のパロディ作品を造ると同時に、古典的ギリシア悲劇も20世紀に蘇らせた。そして現代のミュージカル、映画、ドラマ…にもつながる「総合芸術」をつくりあげた。その総合舞台芸術を、ロバート・カーセンなどの驚くべき過激な最新演出で楽しむ。
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