今年はリヒャルト・シュトラウスの生誕150年。
『サロメ』『エレクトラ』『ばらの騎士』『ナクソス島のアリアドネ』『影のない女』『インテルメッツォ(間奏曲)』『アラベッラ』『ダフネ』……そして『カプリッチョ(奇想曲)』など、まるで宝塚歌劇のように、キラキラと輝く最高にゴージャスで贅沢なオペラの数々。
そんなシュトラウスのオペラから、『サロメ』『ばらの騎士』『カプリッチョ』に焦点を当て、この傑作三作を、徹底的に味わっていただきます。
各回予定
第1回 11月1日『サロメ』
聖書に数行書かれているだけのサロメの物語。それと古代イスラエルの伝承をもとに、1891年、イギリスの作家オスカー・ワイルドが見事な戯曲を書き上げた。その台詞をほとんど生かしてドイツ語のオペラに仕上げたR・シュトラウスの『サロメ』は、原作の戯曲以上に世紀末的耽美的エロチシズムに充ちた大傑作とされている。
第2回 11月22日『サロメ』
自分の兄である王を殺害し、妻を奪って玉座に着いたヘロデ王。その「近親相姦」を非難する預言者ヨハナーン。イエスに洗礼を施した獄中のヨハナーンは、前王の娘サロメから誘惑され、ヨハナーンに「愛」を拒否されたサロメは、ヨハナーンの首を求める……。世紀末オペラの最高傑作を2回に渡って、様々な演出と演奏で味わっていただく。
第3回 12月27日『ばらの騎士』
ある女性が「『ベルサイユのばら』と『リボンの騎士』を一緒にしたような素敵なオペラ」と称したように、この時代(主演された1911年頃)まで、芸術(クラシック音楽)と大衆音楽は分離していなかった。その美しいメロディと、古い貴族社会の崩壊(ハプスプルグ家の没落)を思わせるストーリーの第一幕を様々な舞台で存分に楽しんでいただく。
第4回 1月24日『ばらの騎士』
夫に相手にされなくなった公爵夫人(マルシャリン)は、若い伯爵(オクタヴィアン)と情事に耽る。が、公爵の予想した通り、若い愛人は商家の若い娘(ゾフィー)と出逢って恋に落ちる。しかし若い娘には政略結婚を約された中年貴族(オックス男爵)が……。新しい時代の新しい恋を、美しく、そして新しい音楽で描いたオペラの第二幕を……。
第5回 2月28日『ばらの騎士』
ウィーンが舞台の恋の物語――若者たちの新しい恋の成就を見守る、公爵夫人の失恋の物語――は、全編が美しいウィンナ・ワルツ(ヨハン・シュトラウスの古い作品)によって飾られ、新しい試み(不協和音)と見事に調和。その美しい音楽によって描かれる最終幕(一つの時代の終焉)を、現代世界のオペラ座の舞台はどのように描いているか……。
第6回 3月28日『カプリッチョ(奇想曲)』
R・シュトラウス最後のオペラはモーツァルト時代の作曲家サリエーリもテーマに選んだ「詩と音楽の闘い」。一人の美女(伯爵令嬢)に求愛する詩人と作曲家。さて、令嬢が選ぶ相手は、どっち?「奇想曲(気まぐれの音楽)」と題された美しいオペラで、長く続いたオペラの歴史そのものの終演を味わっていただく……。 |