ありゃ、何だ? シドニー五輪日本選手団の虹色マント。美醜は問わない。あれは断じてNIPPONではない。日本の文化ではない。
環境問題を訴えただと? 虹色はゲイ・パレードのシンボルだともいわれた。ゲイが悪いとはいわない。が、インター・ナショナルな文化なんて存在しない。ナショナルな文化が多様に共存することがインター・ナショナルなはずだ。なのに、嗚呼、恥ずかしい。
あんなマントなら合羽からげて三度笠のほうが、まだマシ。今後は、女子選手は矢絣袴、男子選手は紋付き袴にしては?
五輪期間中に来日していたミラノ・スカラ座の公演に足を運んだが、やはりイタリア臭がプンプンと匂った。ボローニャ歌劇場ほど強烈ではなく、スカラはインター・ナショナルに洗練されていた。
が、それでも、オリーヴ・オイルとアリオの香が匂い立ち、「イタリア・オペラ」とは「ド演歌オペラ」であることを思い知らされた。
同じ時期、来日していたフィリッパ・ジョルダーノに逢った。予想通りコテコテのイタリアーナ。
“Buon giorno, Principessa!”と挨拶すると、ロベルト・ベニーニの“La vita e bella”(Life is beautiful)のヒロインのようにニッコリ笑って"Grazie"と答えてくれました!
あとは、美味しいペペロンチーノの作り方やローマのgiocatore(サッカー選手)ナカータの話題から、マリア・カラスやマイケル・ボルトン(「女心の歌」や「誰も寝てはならぬ」等のオペラ・アリアを歌うロック歌手)の話題まで、ベラベ〜ラベラベ〜ラ。イタリアーナとの会話は(少々疲れたのは事実だが)楽しい。
彼女が歌ったベッリーニやプッチーニのアリアのアルバムを、次のように酷評したカタブツ・クラシック音楽評論家がいた。 「イタリアにも演歌があったとは!しかも上にドのつく“オペラ・ド演歌”!そもそもオペラがオペラであるための基本的条件、本質的約束事を無視し……」
そもそもイタリア・オペラってイタリアの演歌でしょ。
その素晴らしい事実をフィリッパ・ジョルダーノはわかりやすく教えてくれたのだ。
「21世紀のマリア・カラス」とは明らかに誇大広告だが、彼女のリリースしたCDは、イタリア・オペラ・アリアの絶妙な美しさを堪能できる素晴らしいアルバムだ。Brava!Principessa! |