♪あいつの前では〜女の子〜ツンとおすまし、それはなあに〜? それは鏡、鏡の中から、ツンツツン、ジャズ作曲家(コンポーザー)が現れた〜 それはだあ〜れ〜? それは、ひみつ、ひみつ、ひみつ、秘密のミッホちゃん……。
ガンモ 大変(てえへん)だ、大変(てえへん)だ、大変(てえへん)でゲスゥ〜。
大将 何をそんなに慌ててるんだァ? それに、ゲスゥ〜なんて言っても、そんなギャグ、今じゃ誰にも通じないぜ。
少将(赤ん坊) おおいに、ありうることだね。
ドラ(猫) ニャア〜
大将 お前らのギャグだって、同じだっての。
ガンモ そんなことより、ミッホちゃんがアメリカから帰(けえ)ってきたんでゲスゥ〜。
大将 ギョエッ!! ミッホちゃんが!? 帰って来たぁ!? しばらく見ないと思ったら、アメリカへ行ってたぁ〜! ドギマギドギマギ。
カン吉 あっ、大将。顔が赤くなってるぅ。
大将 バッキャロー! 夕陽のせいだい!
少将 ちょっと気取りすぎのセリフだね。
大将 ウルサイ! ポカ!(と少将を蹴る)
ガンモ それより、アメリカ帰りのミッホちゃん、変な言葉ばかり呟(つぶや)いてるんでゲスゥ。
大将 何ぃ!? あっ、やってきた! おいっ、みんな、あの木の陰に隠れろ!
ミッホ テクマクマヤコン、テクマクマヤコン……、ラミパス、ラミパス、ルルル〜……。
おじさん ミッホも鏡の使い方が、かなり上手くなってきたねえ。
ミッホ ええ。だって、おじさまからいただける楽譜は、メモの切れっ端ばかり。この前なんか、ホテルの電話機の横に置いてあるメモに走り書きしたアルファベットだけ。だから私が頑張らなきゃ。形にならないですよ。
おじさん アジャ、パア!
大将 (木陰に隠れたまま)おい、あの古臭いギャグを飛ばしてる隣の男は誰なんだ?
ガンモ さぁ、わからないでゲスゥ。
カン吉 胸にキラキラ勲章のようなモノが輝いてるから、エラ〜イ人なんじゃないかな。
大将 バッキャロー! エラ〜イ人が、ミッホの前で、アジャ、パア! なんてズッコケるもんか! ポカ!(とカン吉にゲンコツ)
モッコ (突然現れて)こらあ! ちょっとぉ! 私の弟に何すんのよ! それに、こんなところに隠れてないで、出てきなさいよぉ!
ミッホ あっ。みんな、こんなところで、何してたの? 早く逢いたかったのにぃ。
モッコ こいつら、ミッホがアメリカから帰ってきたってのに、お帰りなさいも言わずに、陰から覗き見してたのよぉ。プンプンプン。
大将 だってよぉ、アメリカ帰りのミッホが奇妙な言葉ばっか呟いてるから、なんか気味が悪くって……。
カン吉 テクマクマヤコン……とか。
ガンモ よく憶えてるでゲスゥ。
ミッホ ああ、それね。テクニカル・マジック・マイ・コンパクトのことね。
カン吉 だったら、ラミパスは?
ミッホ それは、スーパー・ミラーを逆さに言ってるの。
大将 さっすがあ。アメリカ帰り。
モッコ 意味、わかってないくせにい!
大将 しゅん。しょぼん。エ〜ン、エン、エン(と泣きだす)……。
ガンモ 大きな体で、泣かなくてもイイでゲス。だって、「技術的な私の魔法の白粉(おしろい)入れ」とか、「飛び抜けた鏡」といっても、その意味が何なのか、誰にもわかんないでゲスから。
少将 日本語のほうがよくわからないというのは、よくありうることです。
モッコ スーパー・ミラーって、あなたが手に持ってる、そのコンパクトのこと?
ミッホ そうよ。アメリカでイッパイ勉強して、やっと手に入れたの。このコンパクトに向かって、テクマクマヤコンと呪文を唱えれば、何でも自分のなりたいものになれるし、何でもつくりたいものをつくれるのよ。
大将 へええ。それで、ミッホは、いったい何になって、何をつくろうってんだい?
ミッホ テクマクマヤコン、テクマクマヤコン……ジャズ・コンポーザーにな〜れ! ラミパス、ラミパス……ミュージック、スタート! 音楽! 飛び出せ!
大将・カン吉 うわあ!、楽しいリズム!
モッコ 素敵なメロディ!
ガンモ イケてるジャズでゲスゥ。
ミッホ あれ? おじさんがいないっ! あっ。先にタケミツホールに行ったのね。今夜は、あたしの日本へ帰って初めてのコンサート! みんなで聴きに来て! ♪私の歌を聴いてほしい、大好きな人に伝えたい……。
大将 おい、みんな! 俺達も、歌いながらミッホのコンサートを聴きに行こうぜ!
全員 イエーイ! ♪朝から晩までミュージック〜 ピアノも上手、それはなあ〜に? それは鏡、鏡の中からエッヘヘ ヨースケおじさんが跳び出したぁ〜 エッヘヘ それはだあ〜れ〜? それはひみつ、ひみつ、ひみつ、秘密のミッホちゃん。 |