13期目のオペラ鑑賞講座は、「オペラは、ゼッタイ演出に注目!」と題して世界のオペラの名演出・名舞台を、演出家の意図を汲み取りながら解説します。
オペラは、日本では「音楽」を中心に語られる傾向が強いのですが、中心にあるのは「物語」。その「物語」を表現するのは演出家の仕事。細かい役者(歌手)の動きや仕種、衣装や舞台装置…などから、それらを「指示した演出家の意図」を(再来年に「オペラ演出家デビューする男」の目を通して)考えてみます。
≪各回予定≫
第1回 フランコ・ゼッフィレッリの美学 part1
『ロミオとジュリエット』『永遠のマリア・カラス』『チャンプ』『ムッソリーニとお茶を』などの映画監督として有名なゼッフィレッリは、ヴィスコンティの助手を務めたのち、オペラの演出家として大成功。舞台装置も衣装も手がける多彩な才能と、そのオーソドックスな美学を『椿姫』『ボエーム』の舞台と映画を通して解説します。
第2回 フランコ・ゼッフィレッリの美学 part2
1回では語りきれないゼッフィレッリの魅力をさらに追求し、『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』といった彼の演出したオペラ映画とイタリア映画との関係についても解説します。さらに、彼の演出を意識し、影響を受けたと思われる他の演出家(浅利慶太など)の演出法についても考えてみます。
第3回 ジャン・ピエール・ポネルの美意識
バイロイトでのワーグナーの楽劇や、モーツァルトの歌劇の舞台、さらにロッシーニの舞台や映像で、見事に美しい「景色」を演出したポネルの舞台を創りだしたポネルの魅力を分析します。と同時に、オットー・シェンクなどの「オーソドックスな演出」(現在流行している「現代化演出」でない演出)について考えます。
第4回 ハリー・クプファーの挑戦
オペラ演出会の「鬼才」とも「奇才」とも言われたクプファー。すべての物語を一人の少女の「夢想」に設定したワーグナーの『さまよえるオランダ人』などの大胆きわまりない構成、鏡を存分に使った舞台装置(グルック『オルフェオとエウリディーチェ』)など、「奇才」の発想の秘密を探ります。
第5回 ピーター・セラーズと「オペラの現代化」
モーツァルトのオペラを現代ニューヨークに移し替え大成功したセラーズのあと、「オペラの現代化」が流行。その方法論を、『リゴレット』を現代マフィアの抗争に置き換えたジョナサン・ミラーや、『ボエーム』を現代に置き換えたバズ・ラーマン(映画『ムーラン・ルージュ』の監督)らも含めて解説します。
第6回 ロラン・ペリーほか「21世紀オペラ界の最先端」
フランスを中心に指揮者のミンコフスキとともに大活躍している演出家ロラン・ペリーの楽しい舞台(『プラテー』『天国と地獄』『美しきエレーヌ』など)を楽しむほか、昨年のザルツブルク音楽祭で上演されたモーツァルト全歌劇上演に見られた「現代最先端の演出」を堪能します。
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