いまでは珍しい七人兄弟姉妹の真ん中という友人がいて、その大家族が、嫁に行った姉妹も含めて、毎年正月と盆には全員必ず集まるという。兄弟姉妹の年齢は37歳から53歳。それぞれに2〜3人の子供がいるから、70歳代で健在の両親も合わせると、35人前後の大パーティになるらしい。
それだけの人数で遊ぶとなると、トランプ、百人一首、麻雀、花札の類では間に合わない。毎年ビンゴをやるのも飽きたというので、何年か前から正月にはTVを3台並べて子供たちにマリオ・カートのTVゲームをやらせ、単勝連式の枠順を作って親たちは「車券」を買い、子供たちの激戦に親たちが大騒ぎして、おおいに盛りあがるようになったという。
ところが、子供はあっという間に成長する。大学受験だの就職だので、カートの乗り手が少なくなり、去年はシラケタ正月になったとか。そこで今年、彼らが知恵をしぼったのが、「懐メロ・イントロ・クイズ」だった。
1970〜90年のヒットソングを各年30曲、各2枚のCDに収めた『青春歌年鑑』というCD全集が発売されたので、それを買い、アトランダムにプレイヤーにかけて、曲名と歌手名をあてるクイズを始めたのだ。すると、イントロが5秒も流れる前に、「あの素晴らしい愛をもう一度! 加藤和彦と北山修!」とか、「岬めぐり! 山本コータロー!」とか、「赤い衝撃! 山口百恵!」と、何人もの親たちが争うように答えたという。
さらに、親たちが首をひねっていると、子供のなかから「禁断のテレパシー! 工藤静香!」とか、「仮面舞踏会! 少年隊!」といった声が飛び、久しぶりに、おおいに「フィーバーした」という。
じつは、そのCD全集を小生も持っているのだが、これは驚異の全集といえる。
なぜなら、このCD全集は、日本人が万葉集以来、歌と共に生きている、ということを証明しているのだから――。 |