オペラは「殺人事件」の宝庫! 『カルメン』『道化師』『カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎の騎士道)』など、愛と憎しみの果ての「悲劇の世界」は、なぜ美しい音楽とともに描かれたのか!? フランス・オペラの『カルメン』を中心に、「ヴェリズモ(現実主義)」と呼ばれるイタリア・オペラで描かれた数々の「殺人事件」の秘密を解き明かします。
■各回予定
第1回 ビゼー作曲『カルメン』1〜ファム・ファタル(運命の女)殺人事件
可憐な婚約者ミカエラがいるにもかかわらず、なぜドン・ホセは、「運命の女」カルメンの魅力にひかれ、殺人事件まで起こしてしまったのか? ビゼーの美しい音楽に隠された「男の純情」と、「魔性の女の真情」を味わいます。
第1回 マスカーニ作曲『カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎の騎士道)』〜不倫決闘殺人事件
シチリアの若者トゥリドゥは、純情な娘サントゥッツァの愛を感じながらも、兵隊に行く前の恋人で今は人妻となっているローラと逢い引きを続ける。そして、それに気付いた亭主のアルフィオと決闘に…。シチリア人ならではの「男の名誉」を賭けた殺人事件。
第3回 レオンカヴァッロ作曲『パリアッチ(道化師)』〜女房・情夫ダブル殺人事件
旅芸人一座の座長カニオの最愛の女房ネッダは、座員トニオの横恋慕など見向きもせず、愛人シルヴィオとの駆け落ちを企てる。それをトニオから聞いたカニオは、道化の芝居の最中にネッダとシルヴィオを刺し殺す。現代イタリア映画風嫉妬痴情殺人。
第4回 ジョルダーノ作曲『アンドレア・シェニエ』〜革命と恋と心中事件
フランス革命時代のパリ。詩人シェニエは革命で落ちぶれた伯爵令嬢マッダレーナと恋に落ちる。彼女に横恋慕したのは、革命後政府高官になった元伯爵家の従僕ジェラール。彼は革命裁判でシェニエを裁くが…はたして恋と革命の結末は?
第5回 チレーア作曲『アドリアーナ・ルクヴルール』〜恋敵女性ライバル毒殺事件
パリの劇団コメディ・フランセーズの花形女優アドリアーナは、舞台監督ミショネの愛を振り切って伯爵マウリツィオを愛する。が、同時にブイヨン公妃も、マウリツィオ伯爵に愛を…そして、アドリアーナに贈られてきたスミレの花には毒薬が…。
第6回 プッチーニ作曲『外套』〜亭主による情夫殺人事件
パリのセーヌ川に浮かぶ艀(はしけ)で暮らす貧しい沖仲仕夫婦の間に起きた痴情がらみの情夫殺人事件。殺した情夫ルイージを、外套の下に隠した夫ミケーレは、「許して」と近づく妻のジョルジェッタに、その死体を見せる。外套は喜びも悲しみも、そして罪をも隠すのか……? |