Xジャパンと、フィリッパ・ジョルダーノと、ヴェルディとワーグナーの大好きな首相が誕生した(小泉首相のことですね)。
が、誰も「クロスオーバー内閣」とも「フュージョン内閣」とも呼ばない。
橋本派を切って、民主党に近寄るならば、まさにピッタリの呼び名と思うのだが、テレビやスポーツ新聞はXジャパンには触れても、ヴェルディ、ワーグナーは無視。せいぜいフィリッパまで。
マスコミ人の趣味の幅が狭いのか、知識に欠けるのか、あるいは「大衆ウケ」を意識してクラシック系は避けているのか……。
本当の理由はわからないが、マスコミ人の視野と守備範囲が意外と狭いことは常日頃の付き合いで痛感している。
「クラプトンの大ファン」だと言う編集者でも、パヴァロッティと共演しているCDの存在を知らない。「ミュージカルが大好き」なテレビマンが『キャンディード』を知らない。
「ピアノはやっぱりグレン・グールドだ」という新聞記者も、グールドがバーブラ・ストライザンドの大ファンだということを知らないし、グルダのジャズを聴いたことがない。
ま、最近は、趣味を体系化して知識にすることなど流行らないから、「好きなものは○○」でとどまっていて満足なのだろう。が、マスコミ人なら、せっかくの趣味をネタにしないのはもったいない……と思う小生は貧乏性なのか?
そういえば山下洋輔のショパンやラヴェルは(ガーシュインはもちろん!)最高の演奏だと思うが、ジャズ・ファンもクラシック・ファンも、あまり騒がないし、録音の存在も知らない人が多い。
一昨年、ヘビメタ・スーパーギタリストのイングヴェイ・マルムスティーンがチェコ・フィルハーモニーと、エレキギター・コンチェルト『新世紀』を録音し、日本でも発売されたが、ヘビメタ・ファンには無視され、クラシック・ファンにはキワモノ扱いされた。
ドヴォルザークの交響曲調の楽章があったり、バロック調があったりで、けっこう面白かったのに……。
来年、B’zのギタリスト松本孝弘が、佐渡裕指揮東京都交響楽団とエレキギター協奏曲を演奏するらしい……と聴いて、いまから大興奮しているのは、私だけだろうか?(これは奏者が変更になってスティーヴ・ヴァイになりましたが、面白い演奏でしたよ。本欄の「翔べ! 21世紀へ!「エレクトリック・クラシック」の翼に乗って!」参照)。 |