オペラ徹底解説講座のリニューアル第4期は、イタリア最後の本格グランド・オペラ作曲家ジャコモ・プッチーニの華麗な舞台と、美しい音楽を愉しみます。
運命の女・情熱の娼婦・嫉妬深い歌姫・可憐な少女・氷のような冷たい心の姫君……などなど、プッチーニのオペラの主人公は、すべて特徴的・魅惑的な女性!
それらの女性の様々な「愛のカタチ」を素晴らしい音楽で描いたオペラの世界を味わいます。佐渡裕さんの解説&指揮する『トスカ』(兵庫県立芸術劇場)でのライヴ観賞(希望者のみ)も挟み、オペラに描かれた「愛の世界」を徹底的に愉しみましょう!
各回予定
第1回(4月28日)『マノン・レスコー』〜運命の女・マノン
プッチーニ最初の成功作の主人公は、次々と男を翻弄し、破滅に導き、自らも破滅する運命の女(ファム・ファタル)マノン。フランスの作曲家マスネが最初にオペラ化して大成功している原作(アベ・プレヴォー作)に、敢えて挑んで、さらに華麗なメロディを付けたプッチーニは、本当に情熱的な女性が好み? それとも他人が既に手を出した女性を好む?
第2回(5月26日)『ラ・ボエーム』〜情熱の娼婦・ミミ
クリスマスのパリが舞台の『ラ・ボエーム』は、芸術家志望の若きボヘミアンたちの貧乏生活を描いた人気オペラ。彼らのうちの詩人と恋に落ちるお針子のミミは、可憐で可愛い女性? それとも、情熱的な娼婦?……その答えはプッチーニの音楽のなかに描かれている?
第3回(6月23日)『トスカ』〜嫉妬深い歌姫・トスカ
イタリアで最高の歌姫(ディーヴァ)トスカは、フランス革命に賛同する若き画家カヴァラドッシの恋人。しかし彼女に横恋慕する保守派の警視総監スカルピアが現れ、カヴァラドッシを逮捕。窮地に追い込まれたトスカの「女心」の悲哀をプッチーニは見事に描く。
嫉妬深い人は何か事件を発見して嫉妬するのではない。嫉妬深いから嫉妬するのだ……とは、シェイクスピアの言葉。嫉妬の女トスカ・草食系革命家カヴァラドッシ・残虐趣味(サディスト)スカルピア…3人の「愛」の行方は?
第4回(7月28日)『蝶々夫人』〜可憐な東洋の少女・蝶々さん
アメリカ海軍士官ピンカートンの「現地妻」となったのは、長崎の芸者で15歳の蝶々さん。アメリカに帰国したあとアメリカ人女性と結婚したピンカートンは、再び長崎を訪れるが、蝶々夫人は「(女の)名誉」を守って自死する。それはプッチーニの理想の女性像?
第5回(8月25日)『ラ・ロンディネ(つばめ)』〜愛を求める高級娼婦・マグダ
金持ちの紳士に囲われていた高級娼婦のマグダは、彼の友人の息子と恋に落ち、人目を避け、二人で質素な愛の巣を構える。しかし母親から正式な結婚許可を得た若者に向かって、マグダは別れを告げる。実らない「愛のカタチ」をプッチーニは華麗な音楽で称賛する?
第6回(9月22日)『トゥーランドット』〜愛を拒否する姫君・トゥーランドット
中国の姫君トゥーランドットは、結婚を申し込む男性たちに、次々と難題を課し、挙げ句の果てに死刑に処するという「氷のような冷たい心」の持ち主。その心を溶かす男との対決は、プッチーニの生涯最大の「愛のテーマ」だった? |