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3月26日、世界のスポーツ界に衝撃が走る驚嘆すべきニュースが発信された。
IOC(国際オリンピック委員会)が、2年後に開催されるロサンゼルス・オリンピックから女子競技に参加する選手全員に対して、「セックス・チェック(遺伝子検査による性別テスト)」を実施すると発表。
それによって「生物学的に女性」と認められた選手しか女子競技への参加を認めない、との方針を打ち出した。
その結果トランスジェンダーの選手−−男性から女性に性転換手術を行った選手や、遺伝子的には男性とされる遺伝子を有しながらも、誕生以来女性として育てられ、自他共に女性として成長した選手などは、女子競技に出場できないことになったのだ。
この方針は既にボクシングや陸上競技では採用されており、女子ボクシング世界選手権のセックス・チェックで失格(女性ではない)と判定された2人の選手が、24年のパリ五輪への出場が認められ、金メダルを獲得。それが問題視され、男性並みの強いパンチの選手と闘う危険性を何人もの女子選手が主張したことなどが考慮された結果と言えた。
また、遺伝子検査が人道上も人権的にも問題とされて否定された時代(21世紀初頭)に、女子の陸上競技で勝ち進んだ選手が男性ではないかと疑いを持たれ、筋肉増強効果のあるテストステロン(男性ホルモン)の量を検査。
すると女性の平均量を上回り、男性の量と同レベルだったため、世界陸上競技連盟(IAAF)が、男性ホルモンの量を薬剤で女性の平均レベルまで下げなければ女子種目への出場を認めない、という裁定を下したこともあった。
それに対してその選手は、ホルモン量が多いか少ないかは性別とは無関係であり、薬剤の摂取はドーピングにあたるとして、IAAFの指示の撤回を求めてCAS(スポーツ仲裁裁判所)に提訴。その判定は、男性ホルモンの量は性別とは無関係と認め、IAAFの判断を人権上は問題としながらも女子スポーツの公平性を保つには必要な措置と認め、両者の主張を同等に認める判断を下した。
このような複雑な問題が続いたことに対してIOCのコベントリー会長は、オンラインの記者会見で、自分とIOC理事会が下した判断は「女子スポーツの平等性と公平性を保ち、競技の安全性を守る方針」だと延べた。
彼女は昨年6月IOC会長に選任されたあと、9月に「女子スポーツというカテゴリーを確立する」ことを目的に、国際競技連盟(IF)と専門家による会議を繰り返したうえで、今回の結論に達したという。
が、即座に各国の人権団体や、性的マイノリティの支援団体から次々と反論が飛び出した。
そもそも女子スポーツの「女性認定問題」は、1964年の東京オリンピックの頃から問題視され、IOCは1968年メキシコ・オリンピックから女子競技に出場する選手の"セックス・チェック"を開始。口腔内の粘膜を採取して細胞の染色体を検査。XXなら女性、XYなら男性と判定する方法が採用された。
が、生まれたときから女性として育ちながら、染色体にY細胞が発見され、外見でも男女の区別が付きにくい"男性半陰陽"の女性選手の存在することが判明。
先に書いたように、男性ホルモン(テストステロン)の量で男女を判定する方法もとられたが、男性でも女性以下の男性ホルモンの量の人もいれば、副腎から大量の男性ホルモンが分泌される副腎性器症候群の女性が存在することも判明。
そこで、オリンピックの女性選手のセックス・チェックは、1996年のアトランタ大会を最後に行われなくなり、女子競技に出場する女性選手は、すべて自己申告で女性と認定されるようになった。
が、近年になってトランス・ジェンダー選手(性転換選手)の存在をキッカケに、"女子競技に出場する女性選手の判定問題"が再浮上。
さらに2期目のアメリカ大統領に就任したドナルド・トランプ氏が、「男子が女子スポーツで競技している。そんなことで議論になってるなんて信じられるか?男性が女子スポーツに出ているんだ」と主張。今年2月に、トランスジェンダー選手の女子スポーツ競技への参加を禁じる大統領令に署名。
彼は、2年後のロス五輪で開会宣言を行う人物だけに、IOCのコベントリー会長もトランプ大統領に足並みを揃えたのか?(擦り寄ったのか?)という懸念も浮かびあがった。。
折しもアメリカとイスラエルは、「五輪休戦国連決議」が採択された休戦期間の真っ最中にイランへの攻撃を開始。
同様の決議違反を犯したロシアとベラルーシが、国としてのオリンピック参加を否定された(個人としての参加しか認められず、国旗と国歌の使用も認められなくなった)という制裁と較べれば、IOCは明らかに反論のできないダブル・スタンダードの決定を犯してしまったというほかない。
これもまた、2年後にロス五輪を控えたトランプ大統領に対するIOCコベントリー会長の擦り寄り(ゴマすり?)と言うほかあるまい。
話をIOCのセックス・チェック再導入の話に戻すと、日本スポーツとジェンダー学会会長でJOC理事、2020東京五輪の組織委員会委員も務めた來田享子氏は、今回のIOCの女子選手の遺伝子検査導入の方針に対して「女性差別時代に逆戻り」で「迅速に撤回すべき」と発言(ABEMATimes「私とニュース」より)
しかし、イスラエルとアメリカの「五輪休戦国連決議違反」も、それに対するIOCの曖昧な態度も、IOCの「女性差別時代への逆戻り」の方針も、わが国のマスメディアは、まったくと言ってイイほど報じない。
ひょっとしてマスメディアの皆さんは、オリンピックが反戦運動であり、人権問題とも深く関係している文化的イベントであることを御存知でなく、ただ金銀銅のメダル獲得を騒ぐスポーツ大会だと思っているようですね?
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