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今年のワールドカップ北中米大会で、グループリーグ敗退という結果に終わった韓国では、洪明甫監督に対する責任問題が、大韓サッカー協会(KFA)の任命の仕方に不正があったのではないかという疑惑に発展。
それをきっかけに韓国警察がKFA本部を家宅捜査したところが、外国人審判に対してKFAが「性接待」を行っていたことが判明。
韓国国会で聴聞会が開かれる事態に発展し、洪明甫監督の辞任に続いて、鄭夢奎KFA会長も辞任。韓国社会全体に広がった騒動は、まだ収束の道筋が見えないでいる。
一方、我が国のサッカー日本代表チームは、優勝を目標に掲げて臨んだW杯だったが、結果は決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れベスト32で敗退。とはいえ、三苫薫、南野拓実、遠藤航という主力選手を大会前の負傷で欠き、さらに久保健英までが初戦で負傷。
にもかかわらず、グループリーグで強豪オランダとスウェーデンに引き分け、アフリカ予選を失点0で勝ち進んだチュニジアにも4-0で勝利。ブラジルとも互角に勝負できた(主力選手が揃っていれば勝てた?)という内容で、森保監督にも日本サッカー協会(JFA)にも批判の声は全く聞かれず、森保監督のアジア・カップ(来年1-2月)までの続投と、その後の大岩剛U21監督の代表監督就任までがすんなりと発表された。
KFAの惨状とは対照的に、森保監督とJFAに対しては「ケガ人が多いなかでよくやった」という称賛の声と、1993年のJリーグ誕生以来JFAが積み重ねてきた日本代表強化の歩みを高く評価する声が多く聞かれたのだ。
が、そんななかで、小生が少々不満に思うのは、Jリーグ誕生以来の"歩み"が、かなり単純化して語られたことだ。
たしかにJFAは、過去に一度も出場したことのなかったW杯に駒を進めるため、それまでのJSL(日本サッカーリーグ)を解体し、選手とチームを全て一気にプロ化。
10チームで始まったJリーグは、年々チームを増やし、現在はJ1からJ3まで全60クラブが存在するまでになった。
そして33年を経た現在、Jリーグ見て育ち、Jリーグのジュニア・クラブに入って育った多くの若者たちが、Jリーグのチームを経て、イングランドのプレミアリーグ、ドイツのブンデス・リーガ、スペインのラ・リーガ、イタリアのセリエAなど、世界の一流選手が集まるヨーロッパのトップリーグで活躍するようにもなったわけだ。
もちろん日本代表チームを強化する直接的な施策も数多くあった。が、その基本にJリーグの存在があったわけで、Jリーグが存在しなければ今の日本代表チームの活躍も存在しなかったことを多くの人が指摘した。
が、そこで見落とされ、語られないことがあった。
それは、Jリーグの誕生以来、そのあり方に終始反対していた勢力があったという事実だ。その"反対の勢力"とは、Jリーグの誕生時を知っている人なら誰もが憶えていると思うが、読売新聞社の渡邊恒雄社長(当時)が率いる読売グループだった。
彼は、川淵三郎Jリーグ初代チェアマンのことを、「川淵がいる限りJリーグは発展しない」と公言し、Jリーグの方針にことごとく反対。
欧米のプロスポーツと同様、チームに企業名を冠せず、ホームタウンの都市名と愛称で「川崎ヴェルディ」「横浜マリノス」……と呼ぶことにも反対し、読売新聞や系列の日本テレビは「読売ヴェルディ」「日産マリノス」と企業名での呼称を採用し続けた。
また日本テレビ放送網株式会社の氏家齊一郎社長(当時)は、Jリーグ開幕を前にして「読売ヴェルディ」の選手たちを励ますパーティで、次のような挨拶まで口にした。
「プロ野球は強い巨人が中心になってここまで発展した。Jリーグも同様に一つの強いチームを倒そうとする形をとることが、リーグ全体を発展させる条件と言える。ヴェルディがその強いチームになることによってJリーグも発展し、日本テレビの視聴率も上がることを望みたい……」(小生責任編集『Jリーグからの風』集英社文庫より)
この発言が我田引水の大間違いであることは、今日のJリーグの発展を見ればわかるだろう。しかし同じ誤った考えの渡邊恒雄氏は、日本の全県にJリーグのクラブを増やそうとする川淵チェアマンの「Jリーグ百年構想」にも反対し、プロ野球のように少ないチームのままの「スポーツ興行」による利益の独占を企図。Jリーグとは異なる別の新しいサッカー・リーグを立ち上げることまで画策した。
「新リーグの創設」という発言は、プロ野球で読売ジャイアンツが過去に何度か用いた"脅し"で、他球団は巨人に去られては困るので、巨人の言いなりになるというパターンを繰り返してきた。
が、川淵チェアマンは"脅し"に動じることなく、「新リーグでも何でも創ってください」と発言。「でも、新リーグの選手は、ワールドカップにもオリンピックにも出られませんよ」と反論した。
FIFA(世界サッカー連盟)に加盟しているJFA傘下のJリーグ以外の"新リーグ"は、世界のサッカー界とは関係を持つことができず、プロ球界での"脅し"がサッカー界では効果のないことを知った渡邊恒雄氏は、川崎ヴェルディの運営からも手を引き、読売グループは、新聞やテレビのジャーナリズムとして真っ当な「報道と批評」という立場でJリーグに参画することになったのだ。
そしてJリーグは、今年8月からヨーロッパ・サッカーと同じ"秋春制"を採用。さらなる発展の一歩を踏み出した。
もしもJリーグが、渡邊恒雄氏の意図した通りになっていたなら、日本のサッカーはどうなっていたか……ということは考えなくてもいいだろう。
が、Jリーグ誕生時に争われたマスメディアとの問題は、日本の野球界の問題として考えなけらばならないはずだ。
朝日新聞の高校野球、毎日新聞の社会人野球と高校野球、読売新聞のプロ野球と、メディアが支配している日本の野球界も、JFAとJリーグのよになれば、今とは異なるもっと"良い組織"に変わることができるはずだが……。
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